第7章 しち
送迎会はつつがなく終わった。
これから二次会が始まる。
「じゃあ、一旦。お開きにして」
音頭をとる清光にブーイングが起こる。
「僕もそろそろ休むから、明日に支障がない程度にみんなはまだ楽しんで」
安定が苦笑いでそれに答える。
「ほら、主役がこう言ってるからさ。飲みたいやつは飲む、部屋に戻るやつは戻る、それでいいよね。
片付けは明日やろう!今日はこのままでいいよ。明日は安定の見送りもあるから、みんな1時間早く集合ね!」
鶴さんはまだ部屋に戻らないみたいで、私も鶴さんのいる輪に入ろうと思ったけど、無理。そんなメンタル持ち合わせていない。
「主」
安定に腕を引かれる。
「僕らと飲まない?戻るって言ったけど、新撰組の刀で最後飲むんだ」
「行く」
…三条のみんなと、何話してるのかな、とか。
何食べてるんだろうとか、今日は何が美味しかった?とか。
そういうこと、話したかっただけ。
些細なこと。
「ということで、兼さんのとっておきも持ってきたよ!」
「堀川さすが!」
「国広ぉ」
「主さんも飲みます?」
すっかり酔いが回ってるのか、普段ならそんなこと言わない堀川くんが、ニコニコしながら言ってくる。
「なんてね!嘘ですよ〜っ主さんには、こっちのオレンジジュースを!」
だから、それぞれに配られたコップじゃなく、隣に座る清光の前にあったそれを煽る。
「主!?」
初めて飲んだアルコールは、度数の高い日本酒でコップ一杯。
クラッときて、そこからの記憶がない。
ほんと、迷惑な話だ。
今日の主役は、安定なのに。
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ーー
翌朝、目が覚めたのは私が1番先だった。
いつもは完璧に身だしなみを整えてる清光が、みんなに絡まれて寝ている。
目覚めはすっきりとしていて、その辺に散らばったゴミを片付ける。
これが終わったら、先に大広間も。
なんて思ってると、くぐもった声。
「……主」
目を擦る清光が可愛い。
「おはよ、清光」
「はやいね」
「うん、目が覚めちゃって。アルコールのおかげ?」
「アルコール?………あぁ、あれ水よ?」
「え?」
「いつもなら、飲むんだけどね。今日は安定の大事な日だしっ帰ってきたら、その時飲もうってね。当の本人は飲んだくれてたけど」