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《刀剣乱舞》この雨が止むまでは

第7章 しち


 かくれんぼなんて、いつぶりだろうか。
 それこそ主が小さな頃にやった覚えがあるくらいだ。

 「じゃ、じゃあ、鶴丸さんはあちらを探してきてください」

 粟田口の五虎退が、指を指す。

 「あぁ、わかった」

 そう答えて、次々と隠れた刀達を見つけ出していく。

 「ちぇ、あっという間に捕まっちゃったぜ」

 広いスペースに集められた、鬼に捕まった短刀達。

 「後は大将だけだね」
 「全くどこに隠れたんだか」

 なんて話している声も聞こえる。
 昔は山姥切のマントに隠れたり、岩融の後ろに隠れたり可愛いものだったんだがな。

 隠れるのにしても、流石に見つからなさすぎる。

 「気配消す式術を使う審神者もいるらしいよ、前に演練で聞いたことがある」
 「かくれんぼでは使わないでしょ、さすがに」

 そもそもそんな術を使えるなんて、俺は聞いてない。

 「こうなったらみんなでさがしましょう!」
 「そうだな、そろそろお昼だし」

 みんなで主を探し始める、お昼の呼び声がかかっていよいよ焦り出したのは、俺だけじゃない。

 「流石に何かに巻き込まれたんじゃ?」

 この騒ぎを聞いてかくれんぼに参加していない者たちまで、主探しに協力してくれることになった。

 「俺…、蔵に隠れるように進めたんだけど。そこからは、わからない」

 そんな村雲の話があり、一斉に蔵に向かう。
 この本丸には数個の蔵があり、それを手分けして探す。

 「いた?」
 「いや。こっちには…」

 "鶴丸、国永"

 「え?」

 流れ込んできた霊力と、聞き覚えがある懐かしい声。
 主に似ていて、どこか違うと思いながらも、助けなきゃいけないという気に駆られる。

 「すまない、少し離れる」
 「鶴丸さん?!」

 この気配、どこから?
 みんなは感じないのか。

 駆け出しているうちに、強い気が流れ込んでくる。

 今度こそ助けないと、俺がなんとしても。

 その時の俺は、果たしてそれがいまの主のことなのか、そうじゃないのかそんなことを考える余裕すらなかった。

 裏庭のその奥、蔵なんてなかったはずだが。

 「…………」

 見覚えがあった。
 この本丸じゃなく、過去に。

 「嘘だろ」

 どんな幻だよ。
 蔵の戸は手を触れただけで、すぐ開いた。

 奥で倒れている、人影が見える。
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