第7章 しち
「それじゃあ、かくれんぼ、かいしです!!」
今剣ちゃんと、手が空いてる短刀の子たち。それから鶴さん。
「あるじさま!はやくにげてくださいね!!」
気付けば、みんなもういない。
鬼は今剣ちゃんと鶴さん。
鶴さんは遊びにだって手を抜かないから、準備運動すら余念がない。
「じゅー!きゅー!」
今剣ちゃんのカウントを聞きながら、走り出す。
とりあえず逃げた先でごちゃごちゃ考えようと思って、どこかいい場所はないかと探す。
「頭」
「雨さん!!ちょうどいいところに!!」
季語探しをしていた雨さんに、出くわすなんてラッキーすぎる。
ことの経緯を話し、どこかいい隠れ場所はないかと尋ねる。
「なるほど、私が忍びだから、忍べるいい場所をしらないかと。天井裏などいかがですか?」
…………。
「あ、雨さんいたいた。主も」
「雲さん」
「なになに、どうしたの?主、さっき前田が探してたよ」
「雲さん、頭はかくれんぼをしているようです」
「あぁ、それで。雨さんの参考にならなかったでしょ」
「ひどいです」
「ごめんごめん。だって、主は忍びじゃなければ、女の子だし。3つ目の蔵とかは?大典太達がいるし、整理も行き届いてるはずだよ。うまく匿ってもらいなよ」
「いい考え!そうする!!ありがとう、雲さん。雨さん!!」
「「わん」」
「わん!!じゃあ、また。あ!!短刀ちゃんと、鶴さんには内緒だからね!!」
蔵ね。蔵。
雲さんの提案にのって、蔵のある場所まで行けば、三つ目の蔵のあたりでちょうど秋田くんが探している。
一回りしてからこようと、隠れつつ遠回りをする。
…なんとか、たどり着いた頃にはもう秋田くんもいなかった。
しかも、ちょうどよく蔵の戸が開いてる。
「らっきー。…典さん!ソハヤさん!!」
蔵に入ってから声をかけたんだけど、今は留守にしているのか返事が返ってこない。
「電気つけるの嫌だしなぁ」
昼間とはいえ、蔵の中は真っ暗。蔵だけに?
…おもんな。
「典さーん、ソハヤさーん、」
奥まできたあたりで、ぎぃっと音が響く。
「えー…」
ありきたりな展開。
主まだここにいるんだけど。
閉められた戸。
「嘘でしょ」
かくれんぼで蔵に閉じ込められるなんて、使い古された話しである。