第7章 しち
「主のことがあったからって、…それだけじゃない。たぶん」
「戦い方?」
「無茶する時の清光に似てた」
「俺がいつ無茶したんだよ」
「自覚があるだけ、鶴丸の方がマシだけど。…見てて、怖かった」
真剣な安定の目。
これ以上茶化すことも言えないくらい、真剣な目。
「アイツは主のお世話係だけどさ、それでも俺たちの本丸の大切な一振りでしょう」
「そうね」
「あんな戦い方じゃ、いつか折れちゃうんじゃないかって、それも心配なんだ」
「そんなことさせない。俺が」
「…うん」
「安定、本丸軸で言ったら修行なんてたったの3日。それでも、早く帰ってきてよ、俺の背中を任せられるやつお前以外にいないんだから」
いつもなら、照れくさくて絶対に言わない。
でも、こんな時だからさ。
「僕だってそう思ってる」
「いつ行くの?」
「明日にでも」
「うん、わかった。修行の用意しておくね、手続きとか」
「ありがとう」
「お前も、忘れ物ないようにしておけよ?行李は、物置部屋の押し入れに入ってるはずだから」
「うん」
「安定はご飯食べ終わったの?」
「うん」
「えー?あーぁ、食事中に立つなんてって俺だけ怒られるじゃん」
「僕も一緒に怒られてあげるよ」
…3日か。
本丸に来てから、初めてだ。
安定が顕現するまでのあの期間に比べたら、あっという間だけど。
少しだけ、寂しいなんて。
情けなくて素直に言えないよな。
「ま、実際安定のせいだしな」
「そういうとこだぞ」
修行から帰ってきても、俺たち変わらないよな。
「清光?」
「ん?」
「何でもない」
…変わるわけない。
「加州、大和守」
「あ、やべ」
ご立腹の歌仙。
行儀が悪いって、怒られる。
案の定、口酸っぱく行儀がなってない!と怒られたのは、言うまでもない。