第7章 しち
謝ろうとは思ったけど、こんなタイミングよく会うとは思わなかった。
鶴丸と大広間に戻ろうとした時、正面から歩いてきたのは清光と主。
……何だけど、なぜか僕らを見た瞬間、主が清光の後ろに隠れる。
僕に気をつかってくれた?
「主?」
様子がおかしいと思いながらも、主を気にする清光に一体なんて切り出そうか、こんな時上手い言葉が見当たらない。
「…清光」
「あ、うん」
「相談しなくてごめん」
「俺も、怒っちゃってごめん」
一先ずはこれで解決と思った時、僕たち二人できちんと話をさせようと気を利かせた鶴丸が主に声をかけ、そっと手を引こうとしていた。
「…っ、」
…やっぱり鶴丸何かしたの?
鶴丸の手を避けるように払った主。
「あ、えっと」
その時、主の後ろから駆け寄って飛びついたのは、今剣。
「あるじさまー!」
「今剣ちゃん?!」
いいのか悪いのかわからないタイミングで、あれ、僕たちのターンだよね?これ。などと思いながら、一部始終を見ている。
「あるじさま!かくれんぼしましょう??鶴丸さんも!!」
そう言って二人の手を半ば無理やり引いて、ばびゅーんと行ってしまった。
あっけなくて、思わず笑ったら僕と同じタイミングで吹き出した清光。
「…なんか、今ので全部持ってかれたって感じ」
「そうだね」
「大丈夫かな、主。ご飯途中で追いかけてきてくれたみたいなのに」
「燭台切に伝える?」
「そうね。安定、」
「ん?」
「一応、俺の気持ちも言っておこうかと思って」
「気持ち?」
「俺は、この先も修行に行かない、そう決めてる。これは別に、お前に先越されるのを拗ねてるとかそんなんじゃなくて、…ずっと主を見てきたからさ、小さい時からずっと。本人の前では言えないけど、やっぱり主は特殊な…特別な存在っていうか」
「うん」
「主自身も、俺たちとも他の人間とも違うって、前に泣いてたことあってさ。そばにいてやりたいんだ、ずっと。…主が、心を預けられるような存在が現れるまではさ。
だから、安定はその分強くなって帰ってきてよね」
「…僕は、清光がいるから修行に行こうと思えたんだ。僕が留守の間、僕の大好きな本丸をよろしくね。鶴丸のことも」
「安定?」
「清光が気にかけてたのは知ってる。だから、昨日戦い方を見てた」