第7章 しち
「追いかけてきてくれたの?」
「あ…………、うん。もちろん」
「そっか。ありがと」
裏庭の大きな木。
春になると桜を咲かせる。
「さっきはごめんね、取り乱して」
「ううん、そんなことない」
「…安定、いつ言ったの?修行に出たいって」
「朝、起きてすぐ来たみたい」
「そう」
清光のおかげで、気持ちが落ち着いてく。
「…あのさ、主。さっき怒っちゃったのは、別に安定に対してずるいとかそういうこと思ったんじゃないよ」
「うん」
「ただ、一言相談して欲しかっただけなんだ。俺に1番に言ってくると思ってた。
もう主も成長してきたし、言い出す刀がいてもおかしくないって、わかってる。
でも、安定にだけは、ちゃんと自分の口から言って欲しかったの」
「うん」
「アイツ、それをわかってないんだ。…顕現も遅かったくせに」
落ち込んでいる清光が、何だか幼く見える。
いつもはあんなに頼り甲斐のある背中なのに。
「でも、びっくりしちゃった。…てっきり、顕現順で行くと思ったから。だから、初めは清光かなって」
「俺は、修行行かないよ。主を放っていけない。…それに、鶴丸も」
「鶴さん?」
確かに、清光が鶴さんを気にかけていたのはよく見ていた。
「なんか、放っておけないんだよね。アイツ、たまに目が寂しそうでさ。最近は無くなってきたけど」
「あぁ、うん。分かる気がする」
清光の言葉に、なるほどそう言うことかと納得してホッとする。
私の持ってる想いも、やっぱり惚れた腫れたとかではなく、あの寂しそうな表情をどうにかしてあげたいって言う、…親心的な?そんな感じか。うん、そうだ。絶対そう。
…と、結論付ける。
「でもさ、清光」
「ん?」
「ちゃんと安定と話してね、そうじゃないと私も送り出せない」
「…わかってるよ」
「清光、戻ろうよ。私もご飯途中で来ちゃった」
「俺も、冷静になったらお腹減ってきたかも。安定ともちゃんと話さないといけないし。戻るかぁ」
二人で大広間に戻ろうとした時、正面からからきた安定と鶴さん。対峙するまで、なんともなかった心臓が破裂しそうなくらい音を立てる。
やばいって、なんかやばいって。
鶴さんの方だけ光って見えるっていうか、発光してるわけでもあるまいし、無意識に清光の後ろに隠れる。
「主?」