第7章 しち
「はぁ?!」
「清光、座って食べて」
「いや!なんでそんな冷静なの、主」
「もうそろそろ、言ってくる子が出てくるかなっては思ってたの」
みっちゃんのごはんは、今日も美味しい。
「安定、お前もどうして俺に相談もなく!」
「だって昨日思いついたんだもん」
「もんっじゃねぇよ!!」
「落ち着いて」
「落ち着けるわけ無い。ありえないから!とにかく、主が認めても俺が認めない!食欲失せた!ご馳走様!!」
ご立腹の初期刀を止めるものはなく、少しの沈黙のあとみんながご飯の続きを食べ始める。
「安定、清光に言ってなかったんだ」
「うん」
「どうして」
「本当に思いつきだったのと、今みたいに喧嘩になりそうで」
「そう。……ちゃんと、仲直りしてから行きなよ。私は止めないから」
「うん、わかってる」
少ししょんぼりした安定。
清光の気持ちもわからなくは無いと思いながら、私も箸を置いた。
そんな騒動があったので、抱えてた複雑な感情は息を潜めていたわけで。
「安定、ちょっといいか」
…なんて、昨日一緒に寝たのに、そんなそぶりもなく隣に座っていた安定に声をかけにきた鶴さんを見るまでは。
透き通るような真っ白い髪。
宝石のような瞳。
意外と高い背。
そして落ち着くような優しい声。
…………いやいやいやいや。
意識した途端、耳まで真っ赤に染まっていくのを感じる。
ありえないから!!
「…主?」
「へ?」
まさかこっちにまで話しかけられるとは思っていなくて、しゃっくりが出そうだ。
「どうした、熱でもあるのかい?」
伸びてきた細く長く白い、それでも武人のような手の綺麗さに、耐えられない。
むりむりむりむりむり。
「むりー!!!」
「え?」
今が朝ごはんの時間とか、ここが大広間とかそんなの関係ない。
私今までどんな態度だった?
よくお世話されてたな、こんなんで。
飛び出したけどどこいくの?
これからどうするの??
無理すぎない?
だって、気持ち隠さないと。
私の気持ちに鶴さんが気付いたらどうするの??
…どうなるの?
鶴さんのことだから、きっと…。
あ、普通想像つく。
これまで伊達に長い間一緒にいたわけじゃない。
「……主」
「きよっ、」
「どうして」