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《刀剣乱舞》この雨が止むまでは

第7章 しち


 目を覚ましたのは布団の上、見慣れない天上に少し驚いた。
 どうやって帰ってきたか、見当がつかない。

 腹のあたりの重みに、傷はここかと手を伸ばす。

 「…あれ?」
 「ん……」

 くぐもった声。
 体を起こせば、そこで眠る主の頭。
 どんな体制なんだよ、体痛くするぞ。
 …なんて、偉く心配させただろうから。

 起こすのも忍びないと思いながら、体を痛くするよりはいいと思って、声をかける。

 でも全然起きなくて。

 出来心で呼んだのは彼女の真名。

 「」

 …俺は知ってる。
 今日切り捨てた、アイツらはの名前を知らない。

「怖い思いさせてごめんな」

 そっと頭を撫でる。

 「んぅ、」
 「主」
 「鶴さん、!怪我は、ほんとにない??隠してない??」

 第一声がそれかよ。

 「ここ、私の部屋で。唯一ベットだったから、看病するならこの部屋の方がいいんじゃないかって、薬研が。
 そうだ、薬研よんでこなきゃ」
 「主、落ち着けって」

 細い手首を掴む。

 「座って」
 「あ、…うん」
 「何があった」
 「いいたくない」
 「そうか」
 「…誰にも言わない?」
 「あぁ」
 「…何人かでカラオケに行ったの、女の子と男の子同じくらいで。
 こう、交互に座ってね。みんな慣れてる感じで、…嫌だなって思ったの。そしたらもう駄目。肩とか手とか足とか、際どいのはないよ、多分スキンシップ、…嫌で。香水つけてる人もいて、苦手な匂いで」
 「…」
 「嫌で、部屋を出たの。頭痛くて、そしたら知らない人が助けてくれて。…誰とにてるんだろうと思ったんだけど、多分みんなに気配が似てて…だから、その時点で気づけば良かった」
 「…」
 「ハンカチ貸してくれて、自販機の水くれて、…いい人だなって思って、助けてくれてお茶誘われて、ついてったら…」
 「わかった、なるほどな」
 「鶴さんが助けに来てくれなかったら、そう思うと」

 ぎゅっと、抱きしめる。
 まだこんなに小さかったか?

 「…鶴さん」
 「ん?」
 「友達、作らなきゃだめ?どうせ私、人とも違うんだから、私のことわかってるみんなと一緒にいたいって言うのはだめ?
 学校も、いきたくない」
 「…そうか」
 「ダメっていわないの」
 「しばらく、休めばいい。誰もダメって言わないさ」
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