第1章 いち
「鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか?」
霊力が流れ込んで来た時、初めてなのに"また"かと思っていた。
「あーはいはい。驚いた。俺は近侍の加州清光、よろしくね」
「あぁ、よろしく頼む」
「で、えーっと。早速、1番隊と行動してもらおうかな」
「構わないが、俺は顕現したばかりだぜ?」
「うちは、1番隊が育成部隊だから」
なんとなく、覚えがあった気がした。
「じゃあ、ついて来て」
加州の後に続く。
「分からないことがあったら、誰かしらに言って。みんなそれなりに顕現して長いし。俺でもいいんだけど、近侍の仕事ってなかなか多いからさ」
「どうしてだ?」
「主代理」
「代理?主はいないのかい」
「会えば分かるよ。今はちょっと出かけてるんだ」
近侍なのにそばに居なくていいのかと頭によぎる。
「俺は初期刀でさ。近侍としての事務作業?と、この本丸に主が居る時は側にいるんだけどね、外に行く時は交代制なの」
「主はよく席を外すお人なのかい?」
「まぁね。鶴丸にもそのうちお願いすると思う。まぁ、畑や馬のお世話なんかもしてもらうけど。厨は歌仙と燭台切、それから小豆なんかが中心になってやってる分、当番にしてなくてね。食事は糧だから。得意な奴とか興味がある奴、それから内容が濃い時はお手伝い要請されるからその時は非番の奴とか、手が空いた奴が手伝う感じ。あと、質問ある?」
「…すごいな、君は」
「…え?そうかな。暫くこんな感じで回してたからね、慣れだよ」
「へぇ」
「えーっと、今日は…巴か。
あ、言い忘れてた。今日からは鶴丸の練度上げのための編成になるから、それは覚悟しててね。
歴史はもちろん、主も守るためだから。すぐに実戦に慣れるためだし、今は俺が編成考えてるから。そこだけは頭に入れといて」
確かに"今まで"の加州清光も主贔屓なところはあったが、これほど過保護だったか?と、不思議に思う。
「とーもーえー!…あ、いた」
「どうした、加州」
「ほら、言ったでしょ。今日から新しい奴が来るって」
「あぁ、そうだったな」
「鶴丸、こっち。…そうそう、ここは戦に行くやつの会議とかする場所。控室みたいな感じでつかったりしてるから。隣が医務室でその奥が手入れ部屋だから、いつの間にかこんな感じになったんだよね」
「そうなのか」