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《刀剣乱舞》この雨が止むまでは

第7章 しち


 「気が進まないの?」
 「だって、私人だよ?いくら誕生日が4年に一回っていっても、寿命はあるし、みんなだって何があるかわからないんだよ」

 そう言って、やってしまったと反省する。

 「みんなとの約束、守りたかっただけなの」

 情けなくて、膝を抱え込む。

 「ごめん」
 「ううん、嬉しかったよ。ボクも、あるじさんと同じ気持ち。…でも、あるじさんがお友達と遊んだら笑ったりするのも同じくらい大事」
 「…わかってる、意地悪じゃないこと。人との交流も大事だってちゃんとわかってる。
 ワンピースも靴もカバンもすごく嬉しい、こうやって乱ちゃんとのお話も楽しいし、髪触ってもらうのも嬉しい…でも、」

 ボロボロと意思とは反対に涙が出る。

 「でも、…っ、」



ーーー



 その日から、土曜日まで本丸はぐずついた天気だった。
 歌仙は洗濯物が乾かないと怒っている。

 鶴さんや乱ちゃんは変わらずに接してくれているし、あの日に飲んだいち兄が淹れてくれたココアには小さなマシュマロがのっていて、美味しかった。

 包丁には内緒だとウインクひとつして、いち兄が言ってた。

 友達からの誘いは短刀のみんなには言い出せずに、もし日曜日も雨が降ったらピクニックは延期にしようとだけ伝えていた。

 今剣ちゃんが、少し残念がっていたけど天気のせいなら仕方ない。

 本丸が雨なら、誘いに乗ってもいいかと外出を伝えるために清光の部屋の前に立った時、話し声が聞こえて障子を開けようとした手を止めた。

 声の主はきっと、安定。相変わらず仲が良い。
 キリのいいところで私も混ぜてもらおうと、した時。

 『ところで、さっきの話だけど』
 『ん?』
 『鶴丸の好きな子、どんな子なんだろうね』

 ドクンと心臓が音を立てる。


 『主に似てるんだって』


 聞こえた瞬間、駆け出した。
 わからない、わからない。

 前に感じたモヤモヤとは違う感情。
 それを私は知らない。

 清光の言葉が反芻する。

 鶴さんの好きな子。
 …私に似てる子。

 …ってことは、私じゃないってことだ。

 ほっとして、キュッとなる。
 よかった、私じゃない。

 なんで、ほっとしてるの。
 なんで、こんなに苦しいの。

 曲がり角でぶつかる。

 「おっと、こりゃ驚いた。主?」

 戦闘服の鶴さんだった。
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