第7章 しち
簡単なことだ。
わかってる。
誰かがお湯を張ってくれたお風呂。
上がったら、いち兄が飲み物を淹れて待っててくれてる。
体感10分程度湯船に浸かって、あとは上せそうでお風呂を出た。
「あーるーじーさん!」
「乱ちゃん」
「聞いたよ、新しいワンピース買ったんだって?さっき鶴丸さんに会ってね!問い詰めたのはボクだから、怒らないであげてね」
「…」
「今からファッションショーしようよ!ボクが髪乾かしてあげる」
乱ちゃんに言われるがまま、粟田口の部屋に連れて来られる。
お部屋の一部、乱ちゃんの机のスペースは、可愛いで溢れてる。
「どんなワンピース買ったの?」
「無難なやつ、鶴さんが選んでくれた」
「あぁ、それでちょっと不機嫌?」
「え?」
「他に欲しいのあったとか」
「乱ちゃんエスパー?」
「どんなのが欲しかったの?」
「真っ白いふわふわのやつ、鶴さんの戦闘服に似ててね。可愛かったの。私、あの羽織好きなんだ、肌触りよくて」
「そうなんだぁ、そっちも買って貰えばよかったのに」
乱ちゃんが使うドライヤーは静かな音で、会話を邪魔しない。
「無理無理。鶴さん際限ないから、私が欲しいって言ったら本当に買っちゃうもん。0が多くて無理」
「鶴丸さん、甲斐性はあると思うよ。いっぱい誉取ってるし」
「…私のために使って欲しくないんだよね、手入れで治るとは言え、みんなが傷つきながらもらったお金、ちゃんと自分で使って欲しい」
「あるじさんらしい」
「それに、カバンも靴も買ってもらったもの」
「…でも、嬉しくない?大丈夫、鶴丸さんには内緒にするから」
「可愛い靴と鞄なの」
「うん」
「みんなとお出かけ、とか。そう言う理由なら、嬉しかったかもしれない」
乱ちゃんは聞き上手、おかげで余計なことまでいってしまう。
「どう言うこと?」
「今日初めて友達ができたの、その子に日曜日遊ぼうって誘われた」
「そうなの??うん、うん。それで?」
「でも日曜日は短刀のみんなとピクニックだから、断ろうと思うって言ったら、気にすると思うぞって鶴さんが」
「…まぁ、ボクたちはあるじさんの予定を優先して欲しいとは思うよ、ボクたちとはいつでも遊べるんだし」
「………そう言ってくれると思ったから、服買いにいったの」