第7章 しち
ー…16歳になった。
歳を重ねても、何も変わらない。
外の学校は、正直もう楽しくない。
4年に一度歳をとる。
私の不思議体質なせいで、4回も同じことを学ぶ。
誕生日の後の新学期が始まってから、1年間は楽しい。
新しい友達、新しい勉強。
テストの点数はそこそこ。
悪くなる方が難しい、よほど余白で出さなければ。
小学校に入った頃、この体質と対処に納得いかなくてテストを白紙で出したこともあったけど、歌仙と長谷部に本気で怒られたし、清光は少しだけ悲しい顔をしていたから、それ以降はしてないけど。
でも、そんな時も鶴さんだけは変わらなかったな。
なんて言うのも、いまは昔だ。
「行ってきまーす」
「ちょっと待て!スカートが短い」
「うざ」
「うざって、俺は本当に心配してだな。あー、もう、リボンが曲がってる」
私の正面に来て、慣れた手つきでリボンを直す鶴さん。
昔から手が器用だった。
私のお世話係は、今も昔も変わらず鶴さんが勤めている。
なんでだっけ?
正直覚えてない。
「もういいって、少しくらい」
「お世話係の俺が怒られるんだよ。…ったく、誕生日はしおらしいと思ったのにな」
本丸を出て、私の少し先を歩く鶴さん。
まだまだつむじは見えないけど、最近は目線が近くなった気がしている。
「しおらしいほうがいい?」
「いや、そのままでいい」
隣を歩かなくなったのは、いつからだっけ。
肩車をしてくれなくなったのは、どうしてだっけ。
まぁ別に、して欲しいわけじゃないけど。
「そう」
「今日は何時に終わる?」
「うーん、いつも通りかな。委員会なければ」
「そうか」
「うん。鶴さんは?」
「俺は、頼まれていた買い物と、…あと一旦本丸に帰るだろ。
そしたら、何かしら入っていた気がするから、それをこなして…。
迎えにまでは間に合うさ」
「ふぅん。あ、じゃあ寄り道しようよ!」
「いいぜ、ここのところ、出来てなかったしな」
「うん!やった、楽しみ!!」
「その代わり、頑張れよ。今日も一日、楽しくいい驚きを」
「うん。鶴さんも」
校門の前まで送ってくれた鶴さんと別れる。
学校は別に好きじゃない。
毎日同じことの繰り返しで、正直新しい驚きもないけど、話のタネにいつもネタを探している。