第6章 ろく
ー…昼間、鶴丸から聞いた話を考えていた。
鶴丸は俺に聞いて欲しかったって言ってたけど、それってつまり、他の奴には話したくないってことだよな。
って言うことはつまり、じじぃとか長義とかに聞くっていうのは、よくないんじゃないか?
そもそも俺が、独自で調べられることなのか?
でもでも、ずっと目をかけてきたから、俺がなんとかしてやりたいって言う気持ちもあるし、鶴丸に頼まれているわけじゃないけど。
そもそも、物語だとはぐらかしていたってことは、やっぱり触れられたくないってことか。
えぇ、じゃあ俺どうしたらいいの。何をしてあげられるの。
「…つ、…みつ!…清光!!」
「うわぁ!って、何、安定じゃん。何か用?」
いつもなら、安定に相談しようってなるけど、このことは他言するべきじゃないよな。
…だって、きっと柔らかい繊細な部分の話だから。
「何か用って、用がないと話しかけちゃいけないわけ?って、主の少女漫画に出てきた言葉、思わず言っちゃったじゃん」
「あ、俺もそれ読んだ。特に5巻が胸糞悪くて面白かったよな」
あいつがいくら儚げ美刃だって言ったって、…いや、実際うちの鶴丸は儚さしかないけど。儚さしかって言うのは言い過ぎたな、なんたってうちの鶴丸は!って、俺別に鶴丸推しってわけじゃないから。
もうずっと、初期刀として保護者をしてきたから、保護者が抜けないだけで。
主の保護者をこなしてきた俺としては、初の鶴丸の危うさが心配でもう目が離せないというか、でもこれは俺としては解釈違いなわけで、ってなんの話だよ!!
「そうそう、あんな奴が主の婚約者になったら僕毎日首狙っちゃうよって、そうじゃなくて。主の誕生日の宴だってのに、いつも主に引っ付いてるお前が、こんな端っこにいて何か考え込んでるようだから、みんな心配して僕に話しかけてこいって」
安定が指を差したその先には、宴会をしつつもこちらを伺う仲間達がいて、"俺が心配かけちゃってたわ”と冷静になる。
「え?あ…うそ。本当だ。やだみんな心配してくれちゃって、俺だいぶ愛されてんね」
「っていうより、お前の無表情がだいぶ怖い。お前、それでなくても顔と態度にやすいんだから、気をつけなよ」
「誰が顔と態度に出やすいんだよ、安定じゃないんだから。俺はいつでもクールなポーカーフェイスなのー!」