第5章 ご
「つるさんが、…そばにいてっていったのに」
「それは…すまない」
「主に聞いたけど、プロポーズまがいなこと言って誑かしてさぁ、自分は放置?釣った魚に餌やらないタイプの男士かよ、ありえないんですけどぉ」
結った髪に指を絡ませて口を尖らす加州は、記憶の底に在るキミが読んでいた少女漫画とやらに出てきそうな出たちである。
「ぷろぽーずって、忠誠を誓うって言ってくれよ。俺たちは刀なんだから、おかしいだろう。人間に想いを…」
…寄せるなんてことは。
「あのな、俺が言いたいのはつまり。…幼い君には難しいとは思うが、そばにいてくれって言うのは、…つまり、長生きしてくれってことだ。加州になんて説明したかは知らないが」
草の山から起き上がり、無駄に白い服を払う。
立ち上がり、不機嫌な君を高い位置で抱き上げて空に掲げる。
「深い意味はないんだ。…俺のそばにいて欲しいっていうのは、そう言うことなんだ、分かるか?」
「…わかんない」
「だよな。…いいんだ、それでいい」
「へんな、つるさん」
「あぁ、そうだよ。俺を探しにくるほど、寂しい思いをさせてすまない。言葉の意味を悩ませてすまない。…なんてな」
そっと下ろす。
「加州も、煩わせたな」
「いや、いいけど」
「含みを感じるな」
「納得してないからね」
「手厳しいな」
「まぁね」
「もう休憩は終わりだな、片付けたら世話係に戻る。それまでいいか?」
「今はそれでいいか。主、仕事終わったら、鶴丸が遊んでくれるって。俺たちは先に畑行って厨にお野菜届けに行こう」
「うん!!」