第5章 ご
「きよ、」
「ん?」
「ふたりとも、かっこよかったね」
「そうね」
「きよもかっこいいよ!」
「ありがと。…じゃあ、畑行こっか」
「つるさんは?」
言われて、少し考える。
確かに、目的は鶴丸だけど……。
構われていたら忘れるかな…なんて、少し頭に過った悪い子供騙しはダメみたいだ。
…といっても、鶴丸があんな調子だし。
主のことは、四六時中考えてるみたいだし、でも、素直になれていないというか…。
「きよ、…もどろ?」
「え?」
「きよ、こまってる。でしょ?」
まったく、聡い子だ。この子は…。
「なに言ってんの、困ってるわけないでしょ。じゃあ、先に馬小屋に行こうか。最後に畑で、お野菜もらって厨に置いてこよ」
「うん!」
それにしたって複雑なんだよな。
オレが初期刀だってのに。
全く、末っ子にかぁちゃん取られて嫉妬する兄ちゃんみたいだな。
そんな関係、見たことしかないけど。
見る人が見たら、オレもそんな感じなのかなぁ。
…って、オレは刀で、主はかぁちゃんって歳じゃあぜんぜんないけど。
どっちかというと、俺が保護者だし。
「きよ」
「ん?」
「きよがいちばんだよ」
「ふっ、…うん、分かってるよ。ありがとう、主」
まぁいっか。
主の一言で全部どうでも良くなる。
「主、馬小屋見えてきたね」
「うん!」
嬉しそうな主。
"いちばん"ね。
いつまでそういられるんだろう、俺は。
「鶴丸〜」
「つるさん、いない?」
「おかしいな、…って、いた」
馬小屋の影、積まれた綺麗な干し草の上で寝転がっている真っ白いもの。
「主、フェイントに見せかけて攻撃〜」
「はーいっ」
ぴょんと駆け出してく主。
ほんと、嬉しそうなんだから。
「うっ…って、主?」
「つるさん!」
「ダメじゃないか、こう見えても馬は力が強くて…って、加州もいたのか」
「何サボってるのさ」
「ひと休みだよ。さっきまで作業をしていたんだ」
「つるさん、…あえないから」
「え?」
「そしたら、きよがつれてきてくれた」
「お前が避けてるのバレバレだから。お世話がかり任命したはずなんだけど」
「…それは」
言い淀む鶴丸。
「おせわがかり、いや?」
「な?!…嫌なわけないだろう」