第4章 し
「まえもね、まいごになったとき、つるさんがたすけてくれたんだよ。
…だから、つるさんにはやくあいたかったの」
「そうか。驚いただろ、俺はそいつらとは違うから」
「ううん。ちがくないよ」
「同じか?」
「おなじじゃないよ、とくべつ。わたしのかたなになった、つるさんはとくべつ。
はやくなかよくなりたかったけど、わたしのつるさんがいちばんきれいだったから、」
「うん?」
「きよとあいさつのれんしゅうしたのに、じょうずにできなかった」
きみのまっすぐな言葉が擽ったい。
「でも、つるさんがこれからおせわしてくれるって、きよがいってた」
「あぁ、そうだな」
「さだちゃんが、つるさんおこすのてつだってくれた」
「あぁ」
「さだちゃんも、つるさんとわたし、なかよくなれるっていってくれたから、つるさんがいちばんきれいでわたしがじょうずにできなくても、つるさんとなかよくなりたい」
きみの言葉が染み込んでくる。
「そう思ってたのか」
「うん。…かせんがね、よくいうの。
すなおにつたえないと、だめって。すなおはわからないけど、ちゃんとつたえないと、だめってことはわかるの。
だって、わたしかぁさまも、とぉさまもいないから」
「どうして、」
「わたしがうまれたときに、しんこうでなくなったって、おとなのひとがいってた。よくわからなかったけど」
聞きたいことはそうじゃなくて、本当はどうして俺に特別と言う気持ちを抱いているのかとか、そんなことを聞きたかったんだ。
他の男士や大人がどうであれ、きみの本丸にだって加州をはじめ、きみを慈しんで丁重に扱っているやつが殆どじゃないかと、そう言いたかったんだ。
「きよにはないしょね。きよは、わたしにおしえたくないみたい。わたしはもう、みんなのおかげでさびしくないのに」
きみを肩からそっと下ろし、正面で抱きしめるように両腕で包み込む。
「どうしたの?」
「きみは言ったな。あの時おれに」
少し首を傾げるきみ。
「加州がいってたんだろ、加州の前では泣いていい…と」
「うん!」
「俺の前でも、だ」
「なぁに?」
「俺の前でも泣いていい、こうやって肩を貸すぜ?」
ぎゅっとすがるように、俺の首に手が回る。
「つるさん、やっぱりね。…つるさんは、おんなじで、とくべつ」