第2章 に
項垂れている暇も落ち込んでいる暇もない。
「手合わせくらいなら、俺も力になろう」
何も聞かず、そう言って笑った静形に俺は少し救われた。
その瞬間、妙な気配がする。
話の途中だというのに、肌がひりつく嫌な空気だ。
「鶴の、」
「あぁ、嫌な感じだ」
雷鳴が轟、青光りの稲妻が走る。
「なぜここに、コイツらが…っ、」
「構えろ!」
俺と静形は練度の差が大きすぎた。
足を引っ張っるのは、いつも俺だ。
「静形…っ!!…くそっ、」
敵は容赦なく、兵諸共俺を貫く。
…まぁ。
ーーーー
ーーー
…でも、まぁ、終わるなら。
「…っ、はぁっはぁっ、…ははっ、」
鬱陶しいほど身体が汗ばみ、瞼を開けば見慣れない天井が歪む。
「はははっ、なぜ、まだ…」
傷も痛みもない。
腹や刀を貫かれ、ぽっかりと穴が空いたはずなのに。
ー…トントン
「鶴丸、起きてる?」
「あぁ」
「入っていいかな」
「…加州。あぁ、構わない」
「傷はどう?」
「なんともない」
「そう、よかった。…まずは、」
「加州」
「う、あ?ん。なに?」
「静形は?」
「大丈夫、鶴丸より先に手入れ部屋出たし。今は小夜達と土いじりしてる」
「アイツ、小さいの苦手じゃなかったか?」
「…まぁ、初めはね。でも、小夜が心を動かしたみたい、今は結構馴染んでるよ。…そんなこと、よく知ってるね」
「…見てれば分かる。大体のことは」
「そう」
「立ってないで、座ったらどうだ」
「うん」
加州が座ったのを横目に見て、反対に寝返りをうつ。
「あのさ、鶴丸」
「…」
「聞きたくないかもしれないけど、ごめん」
「それは、何に対してだ?」
「俺が編成した。あそこに検非違使が来るなんて、…今まで出てなかったからって、軽率だった」
「それは、君のせいじゃないだろ。勝てなかったのは、俺の弱さのせいだ」
「違う。鶴丸は、昨日顕現したばかりで…っ、って、こんなこと言いたいんじゃない。聞きたいことがあったんだ」
「…」
「静に聞いたんだ。…検非違使は確かに強いよ。でも鶴丸、あの瞬間」
「説教か?」
「…そうだよ。
そう思うなら、そうだよ。でも、俺は言わなきゃいけない。主の初期刀で、鶴丸を仲間だと思ってるから。鶴丸が、主の大切な刀だから」