第11章 じゅういち
再開されたかくれんぼで、きみを探す。
中庭も、玄関も、医務室も、きみの部屋も、屋根裏も検討が着くところは見たはずだが、短刀達の言う通り見つから無い。
ゲートにも先ほど別れた場所にもいないだろう、だとすると…?
「鶴さん!?」
「よう、光坊」
「いつの間に」
「さっき帰った。手短で悪いが、主を探しているんだ。君のその手にある布団をみると、今日は本丸中の布団を干す日だったのか?」
「あぁ、そうなんだよ。主の誕生日だし、ふかふかの気持ちいい布団で寝て欲しいからね。今日戻るとは思わなかったけど、もちろん鶴さんのも干しておいてあるよ」
「そうか、ありがとう」
「でも、ごめん。まだだと思って物置部屋のほうの押し入れにしまっちゃったんだ、後で出してお」
「了解」
「え?!ちょっと鶴さん?!」
光坊と別れ、本丸の奥の物置部屋へと急ぐ。
ガラッと障子を開け放つ。掃除が行き届いているとはいえ、物が多く足の踏み場も少ない。そして薄暗い。
「痛っ」
あちこちにぶつかりながら、物置部屋の奥の押し入れをあける。
「こんなところに?」
俺の極み前の予備の装束。
もぞったと動いたところで、ばさっとめくる。
「うおっ?!」
鵺が俺の脇を通り抜ける。
「お前こんなところでなにしてるんだ??」
そんな言葉を聞きもしないで、ツーンっと去っていく。
獅子王と打って変わって、愛想が悪い奴。
俺の装束に包まっておいて。それにしても…。
「ハズレだったか」
きみはここにいると思ったが。
その時、重なる布団からはみ出た金が見えて。
そういうことかと咳払いすれば、びくっとまた奥で何か動いた。
…ビンゴ、だな。
「」
努めて優しく声を掛ける。
またビクッと布団がうごく。
「もういいかい?」
「…」
「…」
「…」
「…」
「………」
「残念。みーつけた」
バサっと布団を捲れば、俺が昔そうさせたように似合わ無い金の飾りをぎゅっと握ってうずくまるように体を丸めた君がいた。
まさか泣いてるとは思わなくて、少し驚いた。
何をしてるか聞く余裕もなく、部屋の暗さのせいであの時のことを思いだす。
「…にしてんの」
「かくれんぼで、俺が鬼になって…きみを探していた」
「…そう」