第10章 じゅう
『健気なものか』
うんたらかんたらと、そこから俺への愚痴が始まる。
主の気持ちに答えてやるつもりがないなら、そう伝えてやれだの、興味がないと言っておきながら、さすがは初期刀。
よく見ていたみたいだ。
この本丸の俺は、ずいぶん意地らしいな。
山姥切の言うように、主の気持ちを弄んでいるようにも聞こえる。
「……ははっ、耳が痛いな」
『何がしたいんだアンタ。俺にこんなことを聞いて来て』
「今の俺がどの時代の俺か、知りたかったんだ」
『は?』
「信じなくてもいいが、俺はきっといつの時代かの俺をやり直している」
『どういうことだ』
「突拍子もないって思ってるだろ?そうなんだよ、突拍子もないんだ。
バグかなにかか、何かが俺に起こっている」
『意味がわからない』
「修行から戻って、主の顔がわからないんだ。ついでにこの本丸に火車切もいないようだしな」
『かしゃきり?』
「実装はまだなんだろ?事実確認済みだ。いないのなら、違う時代の違う本丸だ。でも、妙に落ち着く。ここにいていいんだと、いたいんだと思う」
『話が読めない』
「何が起こっているのか俺にも皆目見当がつかないから、しばらくは大人しくさせてもらうが、独自で調べたいと思う。
この本丸の俺を返せなくて悪いな」
『どの時代の俺かわからないとアンタは言ったな』
「あぁ。かいつまんで話すが、おれは何度か政府によって引き取られている。問題や罪を犯した訳じゃない、本丸がいろんな理由でなくなってしまうんだ、俺が疫病神みたいに。
なんてな。…それで、記憶を消される。で、また次の本丸に行くんだ。しーるやどろっぷ、などとといったか?違う本丸に采配される。
行った先々で俺は1人になった、今も別の主に支えてたはずなんだ」
『…』
「わからなくていい。で、本丸に馴染んでくると夢をみる、初めにいた本丸が侵攻に遭い、審神者が亡くなる寸前の惨いものが多い」
『アンタの話で仮定すると、お前が辿る未来にこの本丸はないと言うことか?』
「そうだな」
『今の主がお前が帰るべき時代のお前の主ではないと、どうしてわかる?』
「お前だよ、山姥切」
ずっと指をさすと掴まれた。
『人に指を向けるな』
「それは悪いが、多分今のタイミングじゃないぞ」
『俺は新刃の教育も請け負っている』