第9章 きゅう
こんなの今いうことじゃない。
「それここで言うことか?」
呆れ顔の鶴さん、わかってる。
でも、動揺に気づかれたくなくてさらに誤魔化す。
「鶴さんに言ったんじゃなくて、実感したの。
…鶴さん、大丈夫でしょ。私、強くなってきてる。さっきのは堀川くんに教えてもらった」
だから何?って話だ。
「そうだな、万が一の時は逃げてくれとは思うがな」
「その時はみんなが私を守ってくれるから」
「信頼してるんだな」
鶴さんの一言が少し遠く感じて、胸が痛い。
「何を今更、私、他の同じ歳の頃の審神者よりみんなと長くいるんだよ?」
「あぁ」
「鶴さんも、その一振り」
ねぇ、そうでしょう?
鶴さんの忠誠心に縋りたい気持ちだ。
…なんて、甘い考えだろう。
「光栄だな」
「うん」
ぐうっとお腹が鳴る。
「ふっ、朝ごはんたべよっか」
「そうだな」
障子に手をかけた鶴さんは、私をそっと隠すように前に出る。
勢いよくあけると、雪崩れ込んできたのはみんなだった。
「は?」
「ちょっ!重いって!」
「仕方ないだろ!聞きたいのはみんな一緒なんだからよ!」
「盗み聞きとか信じられない、雅じゃないよ歌仙まで」
「ごめんね、主。つい気になってしまってね」