第12章 真実
エディは煙草を思い切り肺に吸い込むと吐き出した。
煙草の煙が僕たちの方まで漂ってきた。
裕美が心配そうにそれを見ていた。
「拓海くん、実はね、千尋は私と裕美の間にできた子供じゃないんだよ…」
「え?どういう意味ですか?」
僕は驚いてしまいそう聞いた。
エディは話し始めた。
「実は、千尋は前妻の日本人女性が連れてきた“連れ子”なんだよ」
「え?」
僕は言葉を失った。
エディは裕美と再婚する前に他の日本人女性と結婚していたのだ。
その前妻の連れ子だったのが千尋だった。
千尋の本当の父親の名前はアラン・ハリスという人物だった。
アランは若くしてこの世を去ったらしい。
まだ、千尋が2歳かそこらの年齢の時だったのだ。
その後、前妻の翔子と結婚して千尋を実の娘の様に育てていたらしい。
だが、その翔子も病には勝てず、この世を去ったのだ。
そして、その後に今の裕美と再婚したらしい。
「そういう事だから、拓海くんと千尋は血は繋がっていないんだよ…」
僕はその事実を聞いて驚きの余り言葉が出て来なかった。
「だから、私が話したじゃない。お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんじゃないんだよ、って…」