第12章 真実
千尋がそう言ってくるのだ。
その事実を千尋は知っていたのだ。
知らなかったのは僕だけだった。
その事実に衝撃を受けたのは言うまでもなかった。
近親相姦などではなかったのだ。
今までの僕の苦悩はなんだったのだろう。
そう思っていた。
でも、心の底では安堵していたのだ。
「じゃ、エディ、僕と千尋は結婚できるのかい?」
エディはちょっとビックリした様だった。
煙草をくゆらせながら微笑みながらこういうのだ。
「もちろんだよ、結婚はできるさ…」
「エディ、ありがとう…」
裕美も知っていたのに何故このことを話してくれなかったのだろう。
そうも思ったが、もう済んでしまった事なのでそれ以上は何も言わなかった。
この事実は僕にとって人生最高の“クリスマスプレゼント”だった。
「じゃ、これから4人で食事でも行かないか?」
「ええ、喜んでいきます…」
僕はエディのこの言葉に賛成したのだ。
僕ら4人は町に繰り出した。
街は煌びやかなイルミネーションに包まれていた。
僕の心もこのイルミネーションと同じように煌めいていたのだ。
千尋と手を繋いで歩いた。
もう、人目を気にすることなどどこにもなかった。
賑やかなクリスマスの音楽が僕らを包んでくれていた。