第11章 まゆみ
まゆみは激怒したりしないだろうか。
そんな事を色々と考えていた。
千尋と関係を持ってからは毎日が楽しかった。
僕たちは若夫婦の様だったのだ。
二人でキッチンに立ち、料理をしたり一緒にお風呂などにも入っていた。
お風呂に入ると決まってその後、セックスをするのだった。
僕はあれ程、千尋に対して異性としての愛情を否定して罪だと思っていたが、いざ、関係を持ってしまうと罪悪感はどこにもなかった。
僕は誠の話を思い出していた。
「近親相姦なんて昔からあったもので、表に出なかっただけさ」
その言葉を思い返し、やはりそうなのだろう、と思っていた。
そんなことを考えているうちに、まゆみと会う水曜日が来てしまった。
僕はまゆみに前もってLINEでこう話しておいた。
「今度、相談があるのだけれど、時間を作ってくれないか?」
そう書くと、まゆみから返事が来た。
「わかったわ、喫茶店で話しましょう」
僕たちはあざみ野にある上島珈琲店で会うことにした。
待ち合わせ時間は午前11時だった。
僕が先にあざみ野駅前に着いたのでまゆみが来るのを待っていた。
11時少し過ぎた頃だった。
改札出口からまゆみが出てくるのが分かった。
まゆみは僕を見ると軽く手を振って見せた。