第2章 初対面
母は僕の手を握ってきた。
僕も握り返すかどうか迷ったがここは感動すべき場面かと思い握り返した。
こうして親子の感動的な再会を果たすことができた。
僕は正直、全く感動などしていなかったのだが。
次は妹の番だった。
「この子が拓海の妹の千尋よ…」
そう言われて改めて妹と名乗る女性の顔を見てみた。
その顔は小さく目はクリっとして大きく髪は栗毛色でストレートのボブだった。
服装は長袖の黒のTシャツにジーンズを履いている。
ハーフにしては日本人に良く似ているようにも見えた。
「た、拓海、お兄ちゃん…ですか?」
その娘がそう言ってくる。
僕は内心とてもドキドキしていたのだ。
「お、お兄ちゃん…?」
「そう、お兄ちゃんでしょ?」
そう言われても僕は困ってしまった。
そこに助け船を出してくれたのが叔母の寛子だった。
「そうよ、千尋ちゃん、お兄ちゃんよ…」
叔母はそう言とこの感動的な出逢いをもっと感動的になるように涙して見せる。
その涙にもらい泣きしている母を見て僕は正直呆れたのだ。
23年間も会うことも無く、いきなり妹ができたから会ってくれ。
と、言われる身にもなって欲しいと思っていたのだ。