第10章 千尋
「そ、それは…」
僕は口ごもってしまった。
まゆみとは遊ぶ気持ちでセックスをした訳ではなかった。
まゆみを好きな気持ちは僕にだってある。
でも、千尋を諦めきれない僕もいたのだ。
「そんなに気になるなら、千尋ちゃんに直接聞いてみたらどうだよ」
「え?僕に対する気持ちを聞くのか?」
「あん、そうさ。聞いてみろよ。つか、先にお前の気持ちを伝えろ」
「え?僕の気持ちを伝えるのか?」
「あぁ、そうさ。それで千尋ちゃんが拒否すればお前の気持ちもスッキリするだろ?」
「確かにそうだけど…」
確かに、千尋に拒否られれば、僕は落ち込むだろうが気持ちはスッキリする。
でも、拒否られるのが正直怖かった。
「ま、千尋ちゃんに直接聞いてみるんだな」
「そうか…それよりも誠は今でも灯里ちゃんとセックスしてるのか?」
「あぁ、してるよ。それがどうした?」
「いや、別に…」
誠は相変わらず妹の灯里とセックスしている様だった。
僕は、千尋の気持ちを今夜確かめようと思った。
仕事が終わると僕は急いでマンションへと帰っていった。
マンションの部屋のドアを開ける。
すると、いつものように千尋が出迎えてくれた。
「お兄ちゃん、お帰り」