第8章 彼女
「はい、僕が細野です」
「あぁ、良かった。私まゆみです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「僕だって直ぐにわかりましたか?」
「ええ、写真の人と顔が同じだったから直ぐに分かりました」
まゆみはそう言うと笑うのだ。
僕もつられて笑った。
「じゃ、今日は僕がお勧めするハンバーグステーキ屋さんに行きましょう」
「はい、よろしくお願いします」
僕たちは秋晴れの空のもと歩き出した。
土曜日の二子玉川は人が多い。
人の間を縫うようにして歩いてゆく。
つばめグリルは玉川高島屋の中にある。
その玉川高島屋まで歩いていった。
駅からはそんなに遠くはない。
高島屋本館の1階につばめグリルはある。
店のドアを押し店内に入る。
僕は予約しておいたので、直ぐに窓際の広い席に通された。
ウェイターが水とおしぼりを持ちオーダーを取りにやって来た。
まゆみは熱心にメニューを眺めていた。
「僕のお勧めはビーフシチューをかけたハンバーグステーキだけど…」
「そうなんですか?」
「うん、ここの店のは絶品なんだ」