第6章 妄想
「近親相姦なんて、昔からあったことで、それがたまたま表に出なかっただけさ」
それは、本当なのだろうか。
僕はそう思っていた。
それに、誠は自分の妹の灯里とセックスをしているという。
それも驚くべきことだった。
誠はその事を両親に知られたらどうするのだろう。
僕はそんな事を考えながら湯船に浸かっていた。
いくらぬるいお湯だと言え長く浸かっているとのぼせる。
僕は、湯船から出てシャワーを浴びた。
身体中をボディソープでくまなく洗った。
何となく、自分の身体が薄汚れている様な気がしたからだ。
お風呂から上がると冷蔵庫から麦茶を出して飲んだ。
僕は余りお酒は強くない。
誠と少し飲んだだけでも酔っぱらっていたのだ。
麦茶はとても冷たくて美味しく感じた。
「千尋、僕はもう寝るから部屋に行くよ」
「うん、分かった、お兄ちゃん、おやすみ~」
千尋はそう言うとまたテレビを観ていた。
僕は自分の部屋に入りベッドに倒れ込んだ。
リビングからは千尋が観ているテレビの音が流れていた。