第6章 妄想
僕は、それを見て驚いたのは言うまでもない。
「千尋、そんな恰好で部屋をうろつくなよ」
「だって、お風呂上がりで暑いんだもん」
僕は目のやり場に困り、直ぐに自分の部屋に入っていった。
またしても、心臓はドクンドクンと脈打っている。
そして、ペニスが硬直してゆくのを感じていた。
「静まれ、僕の身体…」
そう思いながらドアに寄りかかっていた。
また、会社で余り好感を持たれていない女子社員の事を考えた。
すると、ペニスは徐々に萎んでゆくのだった。
僕はようやく気持ちを落ち着かせることができた。
バッグを部屋に投げるとベッドに倒れ込んだ。
暫くぼんやりとしていた時だった。
「お兄ちゃん?お風呂空いたから入りなよ」
千尋がそう言ってくる。
僕は重たい身体を起こしながらこう言った。
「分かった、今入るよ」
僕は部屋を出るとバスルームへと向かった。
千尋はタンクトップに短パンの姿でテレビを観ていた。
服を着ていてくれてありがたいとこれほど思ったことはなかった。
僕は、ちょっとぬるい湯船に浸かりながらぼんやりと誠の話を思い出していた。