第3章 同居
僕は口ごもってしまった。
千尋は確かに僕の妹かも知れない。
でも、それはつい最近知った事だ。
僕にはまだ千尋を妹だとは認識できなかったのだ。
「もう、二人で住めるマンションも用意してあるんだよ」
「え?エディ、マジですか?」
僕はその事実を知らされた時非常に驚いたのだ。
自分の居ない間に勝手に事が進んでいる。
その事に驚いていたのだった。
「可愛い娘をひとりで暮らさせる訳にはいかないんだよ…」
エディはそう言うとまた煙草をくゆらせた。
僕は大嫌いな数学の問題を解くよりも悩んだ。
「お願いよ、拓海…」
母の裕美もそういてくる。
仲町台は住み慣れた場所だった。
そこで暮らすのなら問題はないだろう。
と、僕はその時思っていた。
問題だったのは千尋との同居だったのだ。
でも、僕は千尋を拒みはしなかった。
「ええ、いいですよ。妹と一緒に暮らします…」
「ありがとう、拓海くん…」
こんな難解な数学を解くよりも難しい状態で僕と千尋は同居を始める事になったのだ。