第3章 同居
「拓海、良く来たわね、さ、入って頂戴…」
僕は母に促されるまま部屋に入った。
そこにはソファーに腰かけて煙草をくゆらせているエディとその隣には千尋が座っていた。
僕は母の事を母だとは思っていなかった。
やはり23年の歳月を埋めるには余りにも時間が無さ過ぎた。
母、裕美は僕にとっては単なる隣のおばさんとしか感じられなかったのだ。
だが、その裕美を恨んだりはしていなかった。
仕方がなかったのだと僕は思っていた。
「拓海くん、今日呼んだのは他でもない、千尋の事なんだか…」
エディは煙草をくゆらせながらゆっくりと話始める。
僕はとてもドキドキしていた。
「拓海くん、うちの千尋と一緒に暮らしてくれないか?」
「え?妹と?ふたりだけで?」
「あぁ、そうだよ。兄妹なんだからいいだろう?」
「でも、エディ、それはマズイんじゃないですか?」
僕はエディを父だとは思っていなかった。
だから名前を呼ぶときもエディと呼んでいた。
エディもそれには反対しなかった。
「拓海くん、何が問題なんだい?」
「だって、年頃の女性が若い男と一緒に暮らすなんて、絶対にダメですよ」
「でも、千尋は拓海くんの妹じゃないか?何の問題があるんだい?」
「それは…」