第5章 MENさんとタイタイさんの守護霊
「困りますよね、急に、一緒に神社に行こうとか言われても……」
「それはいいんすけど……ちょっと、気になることがあって」
「……?」
私はMENさんの言葉の続きを待った。MENさんはやや渋りながらも、こんなことを話してくれた。
「実は去年、競馬して大負けしたんすよね」
「え、そうなんですか?」
私はドズル社に入ってまだ一年も経っていないので、そんな事実は知らなかった。
「守護霊って、いつからいたんすかね? 去年はいなかったとか……」
「うーん……」
MENさんにそう聞かれて、私は白蛇さんへ目を向ける。白蛇さんはニタリと笑うかのように口を大きく開けた。
「ワシはコヤツのご先祖の守護霊ぞ。幼き頃から憑いていたのだから、去年もコヤツと一緒だったのだ」と白蛇さんは言う。「競馬の話もそばで見ていたからよく知っておる。ワシが蛇故にコヤツは馬との相性が悪いのだ」
「相性……?」
どういうことか分からず私が首を傾げると、MENさんが聞いてきた。
「何か言ってるんすか?」
「馬とは相性がよくないって言ってるんですけど……」
「え”」
ピンポーン……。
MENさんがさらに話を聞こうとした時、インターホンが鳴った。配達か何か頼んでいたのか、これから用事があったんだろうかと私は思い、そろそろ帰りますと玄関に向かうMENさんの後をついて行くように歩き出すと、間もなくガチャリと扉が開いた。