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あの方々の守護霊は[atcr]

第4章 不安


 それでも、テストプレイは楽しかった。実はドズル社でよく遊んでいるこのゲームは私もやったことがなかったのだが、他のゲームに通じるものもあり、最初は動きに戸惑いはあったがすぐには慣れた。特にアスレチックというジャンルが得意になった私は、おんさんが担当しているMENさん企画だけでなく、おんりーさんの企画のテストプレイにも呼ばれるようになり、私自身は楽しく忙しかった。
 そんなある日、ドズル社全体がガヤガヤと騒がしくなる時期があった。年末の話だ。アツクラというグループで行う来年の企画で、スタッフ皆んなが忙しく動き回っていた。
「あの、先輩、アツクラって、確かドズル社以外にも色んな人がいるんですよね……?」
 恥ずかしながらゲーム実況者に疎い私は、隙間時間を狙って小声で先輩にそう聞いてみたことがあった。先輩は私が事務からメカニック課に来たばかりの頃からよくお世話になっている人なので、質問しやすかったのだ。
「そうそう。あ、確か、あまり詳しくないんだっけ?」
「あまり……」
 前にも聞いた話なのだが、アツクラは全員で二十人もいるらしいから、まだ覚えていない人もいた。あ、パンダの姿をしたサカイサンダーさんだけは覚えている。
「そうだ、今度スタッフ全員含めたアツクラ忘年会するんだよ。行ってみたらどうかな? きっとますます推しになるよ!」
「えっ」
 私の有無も聞かないまま、先輩は忘年会の詳細が書かれた紙を取り出した。今から印刷して出席を取ろうとしていたんだ、と。どうかな? と先輩は私にその出席簿を渡す。
「う〜ん……」
 スタッフを含めるアツクラ忘年会は、それぞれの演者を支えるスタッフたちも来るかも、という旨が書いてあり、かなりの大人数が予想されるらしい。出席の数によっては場所も変えるらしく、忘年会の場所の候補もいくつか書かれてあった。
「あまり、人が多いのは苦手かい?」
「あ、いえ、そうじゃないんですけど……」
 正直、あのドズル社演者たち五人と関わるアツクラの人たちがどんな人なのかはとても気になる。気になるのだが、私が気にしているのはそっちではない。幽霊の方だ。
(また変なのが視えないといいんだけど……)
 私は、すごく悩んだ。
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