第3章 考察
その後私は、ドズルさんに連絡して幽霊の話もした。私が視えるという話は、ドズル社の演者五人だけが知っていて、先に伝えたくて電話したのもあった。
やはりドズルさんも、分かったとすぐに承諾してくれて点検業者を呼ぶと言ってくれた。ありがとうございますとお礼を述べたあと、話題は幽霊の話に移った。
「それにしても……最近よく色んなものが見えてきているんじゃない?」
通話越しで、ドズルさんがそう言った。それは私も薄々気付いていたことだった。
「それは、私も思いました……小さい頃は、守護霊だけ視えていたのですが……」
幽霊が視えるのは多分生まれつきだ。だけど最近は、ますます霊感が強くなったような気がしていた。
「体調とか大丈夫? 病気は心から、ともいうよね」
とドズルさんの気遣ってくれている言葉。そうだ。この方は医学に通じている人だから、誰よりも体調には敏感なのかもしれない。
「今は大丈夫ですけど……そうですよね。出来るだけ早めに、対策を取った方がいいかもしれません」
私はドズルさんにそう受け答えしながら、前に白蛇さんから聞いた霊害の話を思い出していた。幽霊の影響で生活に支障が出るかもしれない。何度も危なそうな目には遭っていた。今度こそは……私は目を閉じた。
「その辺りのこと、自分なりに調べてみます。いつも気遣い頂き、ありがとうございます」
「はははっ、大したことはしてないよ」
それじゃあまた、とドズルさんとの通話を切って会社の談話室を出た瞬間、そこにおんさんがいて驚いた。
「わ、お疲れ様です」
と私はいつも通り挨拶をしたのだが。
「その、先程の話、聞こえてしまったんですが……」とおんさんが私を見つめる。「幽霊って、どういうことですか?」
「あ、それは……」
私は言葉を詰まらせた。どうにか誤魔化そうとも思ったが、さっきのパソコンの話もあるし、おんさんには話そうと思い立った。
「実は私、視えるんです……」