第23章 メッスさんの本当の守護霊は
ガタンゴトンと規則的に揺れる電車に乗って数時間。私は仕事の休みの日、ある人の家に向かっていた。
ピンポーン。
スマホのナビを片手に辿り着いた家のチャイムを鳴らすと、すぐに誰かが出てきてくれた。あの忘年会で会ったメッスさんだ。
「あ、おねーちゃんこんにちは!」
すると、人懐っこそうな女の子も出てきて私は驚いた。多分この女の子はメッスさんの娘なのだろうが驚いたのはそこではない。守護霊が、いるのだ。
着物を着た老婆のような姿をした守護霊から、娘さんに憑いているのは先祖霊だと思われた。そこで私は、メッスさんに守護霊がいない理由が判明した。
そうか、メッスさんは自分の守護霊を娘さんに渡したのだ。
というのは、私がまだまだ小さかった頃に視たことがあるから。昔、親には着物を着たおばあちゃんの守護霊が憑いていた。あとで聞くと、そのおばあちゃんは私のひぃおばあちゃんで、写真を見たことがあったからすぐに分かった。
そんなある日、弟が産まれた時に親からひぃおばあちゃんの守護霊が消えた。私はよく分からなくて大号泣したものだけれども、赤ちゃんだった弟を見た時に分かった。ひぃおばあちゃんの守護霊は弟に憑いたのだ。
そうして、先祖霊は代々を通して受け継がれていく。だからといってなぜ私より弟に憑いたかは不明だが、あとで色々調べている内に分かったことだし、何人かそういう守護霊も視たから多分合ってる。
「……これで直ったと思います。起動して確認してみて下さい」
そして、今メッスさん宅にいる私は、動かなくなったパソコンの修理に来ていた。パソコンは幽霊のせいでも、本格的に動かなくなった訳でもないので、解体してみたらすぐに原因が分かって私でも直せた。
「おお、点いた!」
メッスさんのパソコンは無事に治ったようである。メッスさんは嬉しそうだったし、たまたま自宅にいた娘さんも嬉しそうで私はホッとした。少しは力になれて良かった。
「えー、もう帰っちゃうの?」
パソコンも直ったことだし帰ろうとすると、娘さんが寂しそうにそう言った。困る私にメッスさんが忙しいからと説得してくれたが、じゃあこれあげると言って折り紙をくれた。
私にはなんの形をしている折り紙か分からないが、大事にするねと財布の中に仕舞った。