第22章 ビルの中の神社
「ここなんすけど……」
とMENさんに案内されてやって来たのは、本当にすぐ近くの神社だった。
ビルとビルの間に挟まれるように建っている神社で、赤い鳥居だけが闇夜に浮かび上がっているみたいで妙に目立つ。
「さっき見つけたんすよ」とMENさんは言う。「卓球やってたら暑くなって外に出たら、何かちょっと歩きたくなって。で、見つけたんです」
「それって……」
私は言いかけてMENさんの肩にいる白蛇さんへ目を向けた。白蛇さんは何か知っていそうだが言葉は語らず、ちろりと舌を出して私に目配せをするだけだった。
「ここでいいみたいです。お参りしましょう」
「うす」
私は白蛇さんが黙っていることを肯定と判断し、その神社の土地へ足を踏み入れた。半歩後ろではMENさんがついてくる。というのも、二人横並び出来ない程狭い神社だったのだ。
そして、賽銭箱の前に来て鈴を鳴らすと、白蛇さんがすかさずこう言った。
「二拝二拍手一拝だぞ」
私は小さく頷き、少し緊張気味で礼と拍手をした。MENさんも同じく礼と拍手をする。
それを終えると神社を出て、MENさんが訊ねた。
「これで良かったっすかね」
「多分……」
とはいえ私は、神社で何か視えた訳でも何かを感じ取った訳でもなかった。果たしてこれが私に降りかかる霊害を防ぐきっかけになるのかどうかも分からない。
「今日は、ありがとうございました。私、電車に乗って帰りますね」
「こちらこそ。お気をつけて……」と言ってくれるMENさんから立ち去ろうとして呼び止められた。「駅、こっちですけど大丈夫ですか?」
「えっ、あ、すみませんっ!」
やだなぁ、私、酔っ払っちゃったかな、なんて恥ずかしさで顔に熱を感じながら、私はMENさんと一緒に駅まで歩いて帰宅した。