第16章 ぎぞくさんの守護霊とルザクさんの守護霊
私は、もし「いいえ」と答えたらどうなるんだろうかと考えた。だけど考えたところでは何も分からないし、考えたくもなかった。でも「はい」と答えた代償はなんになるというのだろう? 私は恐ろしくてその場で立ち尽くすばかりだった。
「おーい、おんり〜……ってどうしたんすか?」
なんという幸運か、おんりーさんに用事があったらしいMENさんが近づいてきた。私は声が出せないので助けてと必死に心の中で叫びながらMENさんへ目を向けると、彼のそばにいつもいる守護霊の白蛇さんがするりと私のところにやって来て、全身を覆うように体に巻きついてきた。……白蛇さんってこんなに大きな体してたっけ?
「死神の取り引きに生者を巻き込むな。証人ならワシがなろう」と白蛇さんは私の顔の横でそう喋った。「分かったならさっさと去れ。ワシのそばで害は起こらないぞ」
すると、死神たちは何も返事もしないまま各々散り散りになって消えていった。私はそこで一気に力が抜けて膝から崩れ落ちた。白蛇さんはすでにMENさんのそばに戻っていた。
「何か、あったのか……?」
「分からないけど、とりあえず静かな部屋に行きましょう」
戸惑うMENさんに何かを察してくれているおんりーさん。私はおんりーさんに促されるまま、会場をあとにした。