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あの方々の守護霊は[atcr]

第13章 アマグリさんの守護霊は


 私は、守護霊のいないメッスさんがちょっと心配になって、一緒に卓球台の方へ向かった。
 卓球台にはまた知らない男性とタイタイさんが軽い試合をしているみたいで、ボールのカンカンッという音がよく響いた。
 タイタイさんはよくボールを取りこぼしていたが、タイタイさんと対戦している男性の方のオーラがすごかった。彼の放つボールになぜか赤いオーラが視える。多分これは、ぽんPさんのところで見たオーラと同じ守護霊だ、と思ってその男性を見やってゾッとした。黒いモヤが見える。
 これは良くないものでは、と私は周りをキョロキョロしておらふくんを探したが近くにはいなくて、私はますます不安になった。すると、その男性の周りにいる黒いモヤが私のところに伸びてきてハッとした。
 いけない。幽霊は私たちの感情に敏感に反応するんだった。
 お願い、こっちに来ないでと思わず目を瞑っていると、そこにメッスさんが近づいてきて、ちょっとやらせてよと卓球をしようとした。私は目を開けてなんとか止める口実を、と必死に頭を捻っていると今度は黒いモヤがメッスさんの方に伸びていて絶句した。
「メッスさん、アマグリニキ強いんすよ、やってみて下さい」
 そこに、タイタイさんが声を掛けて、卓球のラケットをメッスさんに差し出した。そうなのか? とメッスさんはタイタイさんの方に行き、ラケットを受け取る。黒いモヤは、再び男性の……アマグリニキと呼ばれた彼の背中へと引っ込んだ。
 一方のアマグリニキさんはにこやかな笑顔で得意そうにボールを手中で転がしている。じゃあ行きますよ、とアマグリニキさんがボールをラケットで打つと、コンッという音と共に赤い帯がボールに宿り、気づいた時にはメッスさんの横を通り過ぎて私は驚いた。
「すごいですね……! えっと、アマグリニキさん……?」
 と私がつい声を掛けると、彼はにこっと微笑みを返してくれた。
「サンチャンクのアマグリです。初めまして、かな?」
 そうだった、と私は慌てて名刺を取り出し、アマグリニキではなくアマグリさんの背後にいる黒いモヤから必死に目を逸らした。
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