第12章 メッスさんの守護霊は
「パソコンがフリーズしちゃってさ、どうしたらいいか分かる?」
「え、パソコンが?」
色々聞いてみて、それはデータを移すしかないかも、という話になったが、自分でやるのはちょっと怖い、とメッスさんが言う。だったら私が見てみましょうか、と言い出したところでハッとした。
あれ、メッスさんのところに守護霊がいない……?
何か不穏さを感じたが、メッスさんはありがとうと手を合わせるばかり。この方は、どっちの人だろう。
守護霊がいないことでトラブルや不運に巻き込まれやすいか、または実力で切り抜けているタイプなのか、と。
「あー!」
その時、空気を裂くように大きな声がして私は目を上げた。いつどこから出してきたのか、そばでは卓球をやっている集団がいて、ボールがカンッといい音をしたかと思えば、それがメッスさんのど真ん中に命中して私は気づいた。
不運なタイプだ。
「おおい、なんで俺にボール投げつけたんだよ!」
しかしメッスさんはそんなことを気にする様子なく卓球台の方に向かって集団たちに絡みに行った。そこにはタイタイさんや何人かの男性たちがいて、卓球が上手く出来なくてボールが飛んで行ってしまったと言い訳していたのが聞こえた。
横でぼんさんがハハハッと笑っていた。
「相変わらずうるせぇなぁ」
だけどその様子は、楽しんでいるようにも見えた。