第12章 メッスさんの守護霊は
それからいくらかぼんさんたちと会話をかわし、そういえばそっちの社長はどうしたんだよとカズさんが話を振ってドズルさんの話になった。
そういえばドズルさんは……と私が会場をぐるりと見回すとモダンくんたちを含める血気盛んな幽霊たちがまだケンカをしていて、人を探すのにとても苦労した。ちらちらと幽霊がチラつく視界からなんとかドズルさんを探そうとした時、一人の男性が目の前を横切った。
よくある何気ない光景だった。だが次の瞬間、大柄な幽霊がどこからか吹き飛ばされてその男性目掛けて落下していったのだ!
「あの、ちょっと待って下さい!」
「ん?」
私が声を掛けたことで足を止めた男性。と同時に、大柄の幽霊は男性の手前で倒れ、そこに敷いてあったカーペットがなぜかシワクチャになった。私は霊害を目の当たりにして息を飲んだが、多分そこにいる男性は気づいていない。
「おお、メッスじゃん」
「ぼんさん!」
それどころか、ぼんさんが男性に近寄って楽しそうに会話を始めた。その間、ぼんさんの頭の上にいたロボット掃除機の幽霊がいつのまにか床にいて、シワクチャになったカーペットを静かに直していた。このロボット掃除機の幽霊、シワ伸ばしとか出来るんだ……。
「で、こっちはドズル社のスタッフさんね」
とぼんさんが私のことも紹介してくれて、私はまた名刺を取り出した。その男性はメッスさんというらしく、アツクラのメンバーの一人なのだそうだ。ぼんさんとは違った喋り方でよく声が通る気がした。
「機械のことはなんでもこの人に任せきりなのよ」
とぼんさんが私のことをそう言うので、いえいえ、私はまだまだですよと謙遜したのだが、メッスさんが途端に顔色を変えて、だったらさ、とこんなことを聞いてきた。