第2章 最初から幽霊
「どうしたんですか?」
幽霊が見えないおんさんは、私の様子を不審がってそう聞いた。なんでもない、と私は言葉を繕うが明らかに動揺しているのは誰が見ても分かっただろう。
私が視えているのは、パソコンにぐるぐると巻きついている虫、のような生き物に視える幽霊だった。それが何を意味するか分からないが、多分悪い幽霊だ。今はパソコンに触らない方がいいかもしれない。
「あの……今は、そのパソコンに触らない方がいいかもしれません……」
他に言い方も思いつかないまま、私はそのまま伝えた。おんさんからは疑問に満ちた顔をされてしまった。
「なんでですか? さっきまで、データの最終確認をしていたんですが……」
とおんさんはパソコンを見せてくれた。確かにそのようである。だとすると……。
「バグがあるのかも……」
「え?」
私が呟くように言うと、ますます驚いた顔をされてしまった。それもそうだろう。パソコンに一切触っていない私が、突然そんなことを言うのだから。