第1章 何が視える
「おはようございます〜」
私のドズル社での仕事は、この挨拶から始まる。
「おはようございます」
素っ気なさそうに返してきたのは、エンジニアのおんさんだ。私は今日から、おんさんの元でテストプレイヤーとして働くことになったのだが、早速、私の目にしか見えないものが視えていた。
「ひっ」
「……?」
変な声が出てしまった。何も見えていないはずのおんさんは私が見つめる方向を見やってきょとんとしている。それもそのはずだ。
私は、ドズル社で機械系サポートの仕事を担当する傍ら、視える人間であった。
何が視えるって?
……幽霊。
って言ったら、信じてもらえますか?
『あの方々の守護霊は[atcr]』