第11章 カズさんとサンダーさんの守護霊
「ぼんさん、こっちもお願いします!」
「ぼんさん、次はこっちで!」
「あ、これ貸しますよ〜」
ぼんさんはまろさんが言ってた通り、女性たちに囲まれていた。
どうやら周りは他のスタッフたちのようだが、女性たちに囲まれてぼんさんはなんだか楽しそうだった。ぼんさんは背が高くて話口調も柔らかく優しいし、女性受けするかもな、なんて私は他人事のように感じた。
それに、ぼんさんの頭の上には、別の守護霊が憑いていた。前に私が視たロボット掃除機の姿をした守護霊だ。あの守護霊もぼんさんを守ってくれている幽霊らしいので、私が一人で勝手に安心していると、そこに筋肉マッチョな男性が声を掛けていった。
「お〜、ぼんじゅうる、相変わらずモテモテだなぁ!」
カズさんだ、と私も周りのスタッフたちもますます騒いだ。この人は私も見たことはあった。よく機械やゲームなどの実写紹介をしているのは知っていたので、顔を見ただけで分かった。この方、アツクラの人だったのか……!
「あ、カズさん、おかげさまで」
ぼんさんが前に出てカズさんに近づくと、気を遣った女性たちが散り散りに去って行く。どうやらカズさんと親しい間柄らしい。ドズル社は、私が思っていた以上にすごいらしい。
……カズさんの守護霊も。
カズさんの守護霊は、黄金に輝く天秤であった。黄金色の天秤はカズさんの頭の上に乗っていて、右に傾いたり左に傾いたりしてゆらゆらしていた。
(てか、なんでみんな頭の上に乗ってるんだろ……?)
「でこの人はよくお世話になってるスタッフなんですよ」
私が疑問に思っている内に、ぼんさんが私のことを説明してくれていたみたいだった。私はカズさんにお辞儀をした。
「初めまして、カズさん。ドズル社のスタッフです」
と私は名乗って名刺を渡すと、カズさんの自己紹介もそこそこに、今日はサンダーも一緒だぞ、と誰かに向かって手招きした。