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あの方々の守護霊は[atcr]

第9章 白蛇の分身とぼんさんの守護霊


 モダンくんはぼんさんの守護霊だ。ケンカを止めなくてはと私が彼の元に行くと、後ろから大柄な女性が飛びついてきて私は思わず後ずさりをした。その女性ももちろん幽霊で私の体を避けることもなくすり抜けて行ってモダンくんに殴りかかったが、跳ねながら拳を突き出したモダンくんが見事女性に命中させてノックダウンを取ったようだ。……って関心している場合じゃなくて。
「ね、ねぇ、なんでケンカなんかしてるの……?」
 こんな人の多いところで幽霊に話しかけている私はきっと変人だ、と思いながらモダンくんにそう訊ねてみた。モダンくんは私に目を合わせ、きょとんとする。やっぱり、モダンくんの言葉は分からず、モダンくんも私に言葉で答えようとしている様子もなくニカリと笑うだけ。どうやら楽しんでいるようだが、そういえばモダンくんは格ゲーのキャラクターだ。ここでケンカをするのも普通……なのだろうか?
 その時、モダンくんに向かって空手着のようなものを羽織った男性幽霊が飛びかかってきた。私が悲鳴を上げて勝手によろめいていると、どんっと誰かにぶつかってしまった。
「すみませ……」
「大丈夫ですかぁ?」
 そこにいたのは淡い髪をした男性。飲み物を片手に、席を移動しようとしていたところらしかった。
「だ、大丈夫です……」
 人の多いところに慣れてなくて、となんとか答えながらも、私は彼に憑いている守護霊のようなものから目が離せなかった。
 彼の頭上に、光る丸いものがあったのだ。前にコハロンさんのところにいた守護神より眩しい程ではないが、光り輝く丸がある。私はなぜか、彼はゲーム実況者の誰かなのではと感じた。
「ゲーム実況者さんですか?」
「ああ、そうなんですよ! 俺、こういうものでして〜」
 私の突然の失礼さに気にする様子なく、彼は名刺を出してくれた。なんでも、今日のために他のスタッフさんたちと自己紹介するために作ったのだそうだ。
 名刺には「まろ」という名前とピンク髪した少年系のキャラクターが描かれていた。
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