第9章 白蛇の分身とぼんさんの守護霊
タイタイさんの肩にいるのは蛇の守護霊だったが、MENさんのところにいる白い蛇より小さな蛇だった。しかも、色は少しくすんでいて真っ白ではなかった。
「どういうこと?」
と疑問を口にするタイタイさんを横目に、MENさんの守護霊である白蛇さんへ私が目を向けると、その白蛇さんが二又に裂けた舌をチロリと出して喋り出した。
「ワシの分身だ。たまにヤツにワシの幸運を授けてやっているのだ」だったら私のところにも分身を守護霊にしてくれたらいいのに、と思っていると、私の内心を見透かしたように白蛇さんはシャッシャッと笑った。「何、オヌシにもワシの力を授けてもいいのだがの? おおはらと十年以上の付き合いなら、出来なくもない」
「はぁ……」
またよく分からない説明をされ私が半ば諦めていると、直後ガシャン! とコップが割れる音がして私は振り向いた。
「怪我はないですか?」
会場のスタッフがすぐに駆けつけて割れたコップの片付けを始める。だが私には、割れたコップや周りの人たち以外の別のモノが視えていた……。
複数の幽霊たちが、そこでケンカをしているのだ。
声を出す訳にもいかず、私が幽霊の元に向かう間もなく、幽霊はまた走り出してケンカをしに行く。幽霊たちは他の人たちには視えないからと、自由気ままにやっているようだ。
「えっ」
その時見かけた幽霊の一人が、見覚えのある人物だった。顔に傷があり、陽気な笑顔をしながらもケンカに参加していく……モダンくんだ。