第7章 おらふくんの守護霊
「大丈夫ですか?」
私が急に足を止めたからだろう。おらふくんが隣に来て小声でそう訊ねてきた。大丈夫です、となんとか頷くが私の足は動かなかった。その内になんか憑いてる人が私たちの方を振り向いて片手を上げた。
「おー、おらふくんじゃん! 隣にいる人は誰?」
と気さくそうに声を掛けてきた男性。その間も人外幽霊はその男性の周りをフワフワ浮いていて、私はその子から目を離せなかった。
おらふくんが私の説明をしてくれている間に、私はその子を用心深く観察してみた。茶色い革のようなものに身を包んだ小さな小人に、半透明色をした蝶のような羽根がある子。どう見ても子どものような、妖精のような幽霊だ。この子が本当に幽霊なのかどうかも怪しいのだが……。
「……何か視えるんすか」
とそっと聞いてきたのはMENさんだった。見ると気遣うような、遠慮深そうにこちらを見るMENさんがいた。
「あ、えっと、そうなんですけど……」
どうしよう。いきなり貴方には守護霊がいるなんて、言えた試しがない。こんなこと言ったら絶対変に思われるよな、と妖精幽霊? をもう一度振り向くとなんと喋り出したのだ!
「なんだよ、ジロジロ見て。俺のことが視えるっていうのか?」
私は、息を飲んだ。