第1章 プロローグ
私は女中の後ろをついて広い廊下を進んだ。冷たい廊下の板が、私の足音を吸い込むように感じられた。
「こちらでございます。荷物はここに。では」
「あ、ありがとうございます。」
女中はそう言うと荷物を置き廊下を歩いて行き消えた。
重い木製の扉を押し開けると、重厚な家具が整然と配置されている。部屋の奥には布団が敷かれていた。
「入りや。」
彼の声が命令的に響く。私は少し躊躇いながらも、部屋に足を踏み入れた。部屋の中は暖かく、柔らかい光が照らしていた。
「ここが今日から桜潤ちゃんの居場所や。わかるか?俺の部屋でもあるけど」
「はい…」
「良い子やね。そうやな、自己紹介しとくわ。俺は直哉。桜潤ちゃん俺の2個下やろ?まだ13歳やん。」
「そうです…ね。」
私は静かに答えたが、心の中では警戒心が高まっていた。直哉さんの部屋に閉じ込められると思うとこの先のことを嫌でも考えてしまう。
「それで桜潤ちゃんの反転術式、ほんまにおもろいな。男の為に生まれたみたいやん。顔も別嬪さんやし、乳もケツも大きいやん。だから俺がもっと桜潤ちゃんが俺を悦ばせれるようにゆっくり教えたるわ。」
直哉さんは私に近づき、その手を私の腰に伸ばした。
「何で…私の術式の発動条件を知っているんですか…」
私は言葉を詰まらせた。
「親父から何でも情報は入るんよ。安心せえ、誰にも邪魔はさせへん。」
「そうなんですか…私はまだ自分の反転術式を使った事はありません…」
「尚更、この身体に色々教えてあげないとやね。」
直哉さんは私の腰に手を回したまま耳元で囁いた。