第10章 day7 死柄木弔
『確か‥ここらへんのはずなんだけど‥』
以前にも来た山の中
ヒーロー達を救うために走り回った場所をくまなく探す
学校でのお仕事と病院での見回りを終えて
ここで無くしたはずのホークスさんからもらったネックレスを探しに来た
それでも思い当たるところを全て探し回ったけれどもネックレスは見つからない
『どうしよう‥そろそろ日が暮れちゃう‥』
あんまり遅くなるとまたみんなに心配をかけてしまうけれど
ホークスさんのもとへ任務に行った時の
ネックレスをなくしてしまったのを知ったホークスさんの一瞬の悲しそうな顔が忘れらない
最後にもう一度見て回ろうと歩き回っていた時に突然聞こえて来た声
「ヒーリングガールか?」
『っ?!』
夢中で草の中を掻き分けていたから近付いてきた足音に気付かなかった
慌てて顔を上げて目の前にいたその人物に冷や汗が流れる
『死柄木‥弔‥』
「こんなところで何をしている?」
気怠そうな声
じろじろと見定めるような視線にドキドキと心拍が上がっていく
どうしよう
ポケットに携帯電話は入ってるけど
下手に動けば何をされるか分からない
とにかく今すぐ攻撃する気はなさそうなので会話をして探りに出る
『探し物を‥それよりあなたはこんなところで何をしてるんですか‥?』
「皆に大人気のヒーローがこんな夕暮れに山の中で1人とは‥狙って下さいって言っているようなもんだよなぁ?」
私の質問には答えずに死柄木が口角をニヤリと上げる
『もう帰るんで大丈夫です‥』
「帰れると思ったか?」
歩き出した私の手をギュッと繋ぎ止められる
『離してください‥生徒達が待ってるんです‥』
「気がむいたら離してやるよ」
そう言うと私の手を握ったままスタスタと歩き出す
『ま‥待って‥!』
護身用に持ち歩いていた棒を出そうとすると死柄木とはまた違う手が伸びてきた
「この子どうするの?」
「興味があるから連れて帰る」
「どうやって?」
「コンプレス‥それはお前の役目だろうが」
「はいはい‥みんな人使いが荒いなぁ‥」
長い指の間にきらりと光る球体