第8章 day5 緑谷出久
緑谷side
聞き覚えのない音楽
誰かのアラームだろうか
ゆっくりと目を開くと先生とばっちりと目が合った
『お‥おはようっ‥!起こしちゃってごめんね‥』
白いシーツを身に纏った先生が床に落ちている下着に手を伸ばす
「はっ!!す‥すみませんっ‥!!僕っ!あのっ‥昨日はっ‥調子にのってしまって‥本当にすみませんっ!!」
一瞬で蘇る昨夜の記憶
いくら個性のせいで抑えがきかなくなっていたとしても
あんなに激しくしてしまった事を今更後悔して頭を抱える
『ううんっ‥!ぜんぜんっ!大丈夫だからっ!シャ‥シャワー!先に浴びさせてもらっても大丈夫かな‥?』
僕とおんなじくらい顔を真っ赤にして話す
昨日は夜だったし
部屋もぼんやりと暗かったけど
朝日に照らされた先生はあまりに綺麗で輝いて見えた
「はいっ‥!もっ‥もちろんですっ!!」
『ごめんねっ‥ありがとうっ‥!』
僕が情けなく裏返った声で返事すると少しはにかみながらお風呂場へと歩いて行った
聞こえてくるシャワーの音
この壁一枚隔てた向こうに先生がいるのだと思うとドキドキして落ち着かなくなってしまう
「荷物!うんっ‥!荷物を片付けておこうっ!」
何かしていないと落ち着かないからせかせかと荷物をキャリーケースに詰めていく
少し落ち着いた時にふと視界に入る乱れた白いシーツがまた僕の思考を掻き乱す
昨日までは疼いて仕方なかった身体
苦しくてあまり寝れていない日々を過ごしていたけれど
昨日先生と身体を重ねて
久しぶりにぐっすりと朝まで眠れた気がする
ほんの少しだけ薄くなった気がする腰に発現した個性の印を指先でなぞる
「薄く‥なったかな‥?」
ぼーっと鏡を見ているとお風呂場から先生がやってきた
『お待たせっ!緑谷くんもどうぞ‥!』
僕のために急いで上がってきてくれたのか髪の毛もまだ乾かしていないままTシャツとショートパンツだけを身につけていた
寮で一緒に生活をするようになってから何度か目撃したことのあるこの姿は何度見てもいまだに慣れる気がしない
「好きな人のこんな姿‥刺激的すぎるよ‥」
お風呂場に駆け込んで大きくため息をはいた