第2章 day1 イレイザーヘッド 相澤消太
相澤side
交わりの個性
昔
他の国で一時期流行っていた事があった
対女性のその個性
その名の通り
男女の交わりをする事でしかその個性を解く事が出来ず
個性をとく為に費やす
その期間は一ヶ月にものぼる
そしてそれを行わないと
高熱や咳などの感染症のような症状が現れて命を落とす場合もあるような危険な個性
「誰にも迷惑かけたくないならどうするつもりだ‥?まさか死ぬつもりじゃないだろうな?」
誰よりも正義感が強く
自分の個性を使って1人でも多くの人を助けたいと血みどろの世界にでも飛び込んでいく先生が
自ら命を投げ出すとは思わなかった
『私が死ぬ時は‥誰かを守って‥助けて‥どうしようもなくなったら‥その時です』
この個性に効く薬はない
そもそも個性に効く薬なんてものはなかった
「じゃあどうする‥?」
その美しすぎる容姿のために
複数のヴィラン達に攫われそうになっていたあの日
咄嗟に大勢のヴィランに飛び出した俺の後ろで
恐怖で震える身体を自分の腕で支えながらも花がふわりと咲くような笑顔で感謝を伝えてくれた
助けられてよかった
ヒーローになってよかった
心の底からそう思った時
その時にはもう惚れていた
それからは俺に憧れたとかいってヒーローを目指してくれて
己の治癒の個性を伸ばしながら
捕縛布にとっからまりながらも一緒に訓練して
気付けばヒーロー免許を取得していた
『どうにか‥してみせます』
根拠のない自信
緑谷のように
自身の身の安全を勘定にいれない思考が前から怖かった
「投獄しているヴィランにでも頼むつもりだったか?」
『っ?!』
言い当てられたかのように大きな目がさらに見開かれる
「そんな事絶対に俺が許さない‥」
一瞬の隙をついて目の前の身体をギュッと抱きしめて唇を重ねるとさらに困惑したように開かれた瞳
『っ‥はぁ‥相澤‥せんせ‥?』
「俺はずっと前からお前に惚れてたんだよ‥っ‥だから‥俺の事も助けると思って‥身を委ねてくれないか‥?」
この個性は隠していた奥底の気持ちまで引き摺りだすのか?
伝えるつもりのなかった言葉がこぼれ落ちる