第8章 day5 緑谷出久
放課後
一泊分だけの荷物をまとめてヒーローのコスチュームを身につけたまま校門へと向かう
『緑谷くん‥無理に誘っちゃったけど良かったのかな‥』
半ば強引に誘ってしまったから
無理してないか少し心配になっていると明るい声が聞こえてきた
「緑谷は先生の事めちゃくちゃ好きだから大丈夫っしょ!ヒーローとしても、もちろん‥女の人としても!」
「上鳴くん!』
「あ〜めっちゃ羨ましい〜っ!俺もそろそろ限界迎えそうなんで‥また俺ともデートしてくださいね?約束っすよ!」
『もちろん‥っ!上鳴くんも身体辛いのに‥ありがとう』
平気そうなフリをしてくれてるけど
赤く染まった肌に少し上がった吐息
上鳴くんも限界を必死で耐えてくれているんだと知る
「噂をすれば緑谷が‥!じゃーまたね!先生!」
ばいばーいと手を振って走っていく上鳴くんと入れ違いで緑谷くんが息を切らして走ってくる
緑谷くんの印象はとっても真面目でヒーローが大好きな男の子だった
初めて会った時
私を見つけて走ってきてくれた
「わーっ!すごいっ‥ヒーリングガールだ‥!テレビで見てても小柄で可愛くて綺麗な人だとは思ってたけどこうして直にみてみると想像してたよりも小さくて可愛らしい人だな‥人気が海外にまで及ぶのも頷けるし誰よりも強い治癒の個性を間近で見られるなんてそれはもう‥っ」
早口で話すその言葉は殆ど聞き取れなかったけど
キラキラとした大きな目で見つめられてなんだかドキドキしたのは覚えている
「あのっ‥僕‥オールマイトは勿論大好きなんですけど‥助ける為にひたむきに頑張ってるヒーリングガールが大好きでっ‥雑誌の切り抜きは全部集めてます‥テレビも全部録画してて‥雄英高校の先生されてるって聞いてそれはもう嬉しくて‥‥」
『なんだか恥ずかしいけど‥有難うっ‥!』
まっすぐに好意を伝えてくれるから
少し恥ずかしくて照れちゃうけどヒーローとしての自分を認めてもらえるのはとっても嬉しかった
入学して数ヶ月
怪我の絶えない緑谷くんはよく保健室にきていたから
とっても仲良くなったけど
「おっ‥おまっ‥おまたせっ‥しまっし‥」
これからの事に緊張しているのか顔を真っ赤にしたまま目がキョロキョロと泳いでいる